労働者派遣事業を始めるにはどんな許可が必要ですか?
労働者派遣事業へ参入を検討している経営者や人事担当者から最も多い疑問が「許可は必要か」「何を準備すればよいか」です。派遣業は法令による規制が厳しく、無許可での運営は重大なリスクを伴います。本記事では結論を先に示し、その理由と実務上のポイントをわかりやすく整理します。
目次
結論:厚生労働大臣の許可(派遣事業許可)が必須です
労働者派遣事業を行うには、労働者派遣法に基づく「派遣元事業主としての許可」を厚生労働大臣から得る必要があります。許可がないまま派遣業を行うと行政処分や罰則の対象となるため、事業開始前に必ず申請してください。個人では取得できず、法人格(または事業主としての資格)での申請となります。
解説:許可の根拠と主な要件
許可制とされる背景は、派遣労働者の雇用安定と労働条件の保護にあります。代表的な申請要件は以下です。
- 基準資産額などの財務要件(自己資本・流動性の確保)
- 事務所の独立性や管理体制(専用の事務スペース、帳簿管理)
- 派遣元責任者など専任の管理者の配置、必要な講習の受講
- 労働保険・社会保険の適用および規程の整備
- 法令遵守体制(個人情報管理、労働条件明示の仕組み等)
実務では「基準資産額の計算」「事務所図面や定款の記載」「派遣元責任者の講習期限」などで差し戻しが発生しやすい点に注意してください。
社会保険労務士が提供できる支援
社会保険労務士は許可申請の各フェーズで有用な支援を行います。主な支援内容は次の通りです。
- 資産要件や書類の事前チェックと不足点の指摘
- 申請書類一式の作成
- 事務所図面や管理台帳の作成支援、運用フローの設計
- 許可取得後の労務管理・定期届出のアドバイス
まとめ
労働者派遣事業は“許可制”であり、財務・人員・事務所・法令遵守体制といった多方面の準備が必要です。
まずは定款の確認、基準資産額の計算、派遣元責任者講習のスケジュール確保から始めましょう。
